アジア・エスニック料理のフルコースは本当に「敷居が高い」のか?

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「アジア・エスニック料理」の予約制の「コース料理」の提供について。

アジア料理は昔ならヨーロッパのコース料理と比べる以前に、スパイシーな料理を多用するために、味が濃いとか、日本では使わないような特殊な食材があるので「キワモノ」と言う印象が強かった料理。

しかし、ここ数年タイ料理やベトナム料理を中心に「料理」としてのイメージが変わり、中華、フレンチのような「ノリ」でアジア料理を食べようという風に変わりつつあります。

とはいえ、コースとなるとまだ「2の足」を踏む状態が多いのが現状。

果たして、アジア・エスニック料理のフルコースは、フレンチや中華のような可能性はあるのかどうか「敷居が高い印象」から抜け出せないのか、その事について今回は考えてみたいと思います。

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1、はじめに

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今でこそ「アジア料理」とか「タイ料理」「ベトナム料理」と言う風に地域や国でよばれるようになりましたが、十数年前くらいまでは「エスニック料理」と言う言葉で一括りされていた分野。

一般的な食品スーパーに行けば今でも「エスニック」(または中華食材)のコーナーにそれらの食品や調味料が置いてありますが、本来エスニックとは「民族」の意味なので、アジア圏だけの話ではない。

つまり(その他大勢)扱いだったわけでした。


それが、ある程度1つのカテゴリーとして確立しつつありますが、でも「コース料理」となれば、まだ敷居が高い印象があるようです。

しかし、本当においしい料理を作ろうとすると本来は、完全予約制のコース料理が最も可能性が高く、それは日本料理もフレンチも中華も同じことです。
それらが「OK」でアジア料理が「不可」なはずはない。

その「視点」から、今回は可能性について探っていきます。
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2、「キワモノ」料理から「準定番」料理へ

アジア・エスニック料理の昔のイメージは「キワモノ」料理でした。熱帯雨林が生い茂る南の国の「怪しい」とか「物価が安い」「途上国」の印象が強いです。

極端な話、上から目線で見ていた時代もあったと思います。

それがここ、十数年で大きく変わったのは、おそらく「フードフェスティバル」の影響ではと思います。その先駆者が「タイ」で、タイフェスティバルは日本全国の大都市圏で毎年行われるようになり、現地から歌手を呼ぶなどして年々規模が大きく、入場者数も多くて料理のブースに長時間待たないといけなくなるほどの盛況ぶり。最近ではベトナムでもフェスティバルが行われてきています。

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特にタイの場合は、平成初期の「米騒動」で、現地の人も食べないよう粗悪なコメ(タイ米)を緊急輸入し、さらにそれを日本米をブレンドして、全く食感の異なるものを食べさせられたために「悪印象」が付いたことへの対抗心だったとも言われていますが・・・・。

こういったフェスティバルの効果に加えて、LCC(格安航空会社)の登場で、これらの国に非常に気軽に行けるようになったことも大きいでしょう。気が付けばアジア料理は「キワモノ」料理から「準定番」料理のようになり、「中華」や「フレンチ」「イタリアン」のようなノリで、「タイ料理」「ベトナム料理」を食べようという人が増えてきています。

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3、本当に美味しいものを作るためには事前準備が必要

ということで、アジア料理の地位がずいぶん上がってきたのですが、では「フルコース」となると、そこまでの印象は薄く「敷居が高い」と敬遠されがちなのが今の状況です。ベトナムのフォーを「ラーメン」タイカレーを「カレーライス」のような印象で食べるのが今の多くの人の印象らしく、「コース」と言う言葉に強い抵抗があります。02

しかし、本当においしい料理を作るための「最高」の方法がフルコースの料理なのです。

それは、「事前準備」できる料理だからです。

例えば、メニューにあらかじめ料理のメニューが書いてあって、それを注文すると、出て来るのは非常に便利が良いですが、そうなると当然その材料を事前に用意しておく必要があります。大多数のお店はそれで対応していて、材料の種類を増やさないように一部のメニューで「専門化」を図っている店も多いです。

でも、それは食材の在庫をある程度抱えないといけないのと、提供速度との兼ね合いで作り置きをすることがある。

本当の意味での「作り立て」ではないので、「おいしさ」の追求となれば、どうしても下がってしまいます。

それに加えてもう一つ大事な点があります。それは「十人十色」への対応です。

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むしろこの方が大きいかもしれません。一人一人それぞれ「好み」や「体質」「主義」が違います。「好きな食べ物」もあれば「嫌いな食べ物」もありますし、「アレルギー」とか「グルテンフリー」「菜食主義」「宗教的なもの」など、数えだしたらキリがありません。

スパイシーなアジア料理だと「辛い」のが好きな人と嫌い(苦手)な人もいます。それらの要望に可能な限り添えなければ、いくら美味しい料理を作っても、「食べられない」という最悪の結果が待っています。

アラカルトであれば、ある程度料理が決まっていますので、突然の要望に応えることがどうしても「限定的」になってしまいます。「事前」に分かっていればその問題に対応が可能です。

そう言う事を含めて「事前準備」をすることが最もおいしい料理を作る「秘訣」だと考えています。

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4、コース料理は本当に敷居が高い?

コース料理は敷居が高い?恐らくこれは「フレンチ」の影響が強そうです。西洋料理のフルコースと言えば、「テーブルマナー」とか「ドレスコード」とか、いろいろとマナーやルールが「うるさい」というイメージがあります。

それで「コース」=「敷居が高い」と言う印象が強く根付いているのではないか?と言う気がします。

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確かに東南アジアの国々でも「高級」料理店に行けばそういう側面は確かにあります。

それなりのドレスコードを求められたり、テーブルマナーも重要になってきますが、それはあくまで客単価「万単位」クラスのお店の話であって、3-4,000円クラスの「カジュアル」に位置するお店ではそこまで、「気に」する必要は本来ないです。

ただ、言っておきたいこととして、テーブルマナーにせよドレスコードにしても何故そういう規定があるかです。美味しい料理をおいしく食べようとするのに、例えば食べ方が下品(犬のようにして食べる)という姿を見た時に、本人はともかく周りの人が見るとそれだけで食欲の減退につながる可能性があります。

それからこれは実際にあった話ですが、アジア料理=リゾート・バックパッカーを連想するあまり、夏場とは言え、突然シャツを脱きだして、「上半身裸」になったりしたらどうでしょうか?明らかにおかしいですよね。

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料理は「餌」ではありません。作る方は「糧」を得る目的があるから真剣勝負になりますが、それを受ける食べる側もそこまで「真剣」にならずとも最低限のマナーを守ってほしいものです。

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5、究極の東南アジア料理の可能性

さて、そういったことを踏まえ「究極の美味しいアジア料理」が作れる可能性があるかどうかと言えば、条件を満たせば可能となります。その条件は上で述べたような「事前予約のコース料理のみ」ということになります。


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料理を作る時に「レシピ」が必要で、それらは、ネット上でいくらでも見つけることはできます。ではそのレシピ通りに作って本当においしい料理をほぼ機械的に再現できるかどうか?またそのレシピを超越するレシピを結果的に発見してよりおいしい料理を作れるかどうかとなれば、そこは経験を積んだ料理人の技量にかかわってくることになると思います。

ただ、いくら経験を積んだ料理人でも、お客さんが殺到するような状況で、かつ「マナーが悪い人」ばかりであれば、その「技」を十二分に生かせない可能性があります。それは料理人は「人間だから」と言う事になります。

極論をいえば、料理人がリラックスした状態で作れば相当なレベルの料理が作れる可能性を秘めていて、それを営業で実現しようとすれば、「完全予約制」と言う事にあります。

そして、その場で注文するのではなく、事前に要望やリクエストを聞いたうえで、あらかじめ決まった料理を、その「お客さん」のためだけに全精力を注いで作れば、だれもが納得する料理が作れると思います。それは、東南アジア料理だけの話ではありませんが、逆に言えばかつて「キワモノ」とのレッテルが張られていた「東南アジア料理でも可能」と言えると考えれらます。

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6、まとめ

鰤のミャンマーカレー



ということで、アジア料理でコース料理をすると「敷居が高い」と言われる背景についていろいろと探っていきました。店によっては「タイ割烹」と言う名前で頑張っているところもあるようです。

いずれにしてもまだ未知の分野と言う事で、いずれ定着するかもしれないけれど時間がかかるかなと言う気がします。

まあ、こういうものは急ぎの世界でもないので、マイペースで究極のアジア料理を作る事が出ればと思います。

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投稿者: kumakuma2018

東南アジア10ヶ国中、ブルネイを除く9カ国に渡航経験があり、15年以上前からほぼ毎年渡航していて、日本で東南アジア料理店を経営しています。

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